園芸・庭園書籍店

さすがにちょっと内容が古いか？
先述の2名のレビュアーの書かれておられるとおり、これだけ写真レンズの基本的な構成や歴史をレンズ設計者ではない一般人向けにかみくだいて分かりやすく解説した書籍は稀有で同じ朝日ソノラマクラシックカメラ選書の「写真レンズの歴史」（ルドルフ・キングズレーク著）と共に写真レンズの構成図を理解したい方が最初に読む入門書として特にお勧めします。 ただ、最初に執筆された年度が1980年と古いので、（再販にあたり旧版時にはまだ発明or実用化されていなかった新技術も「補足」の形で追加されていますが全然足りません）特にズームレンズに関する記載は今となってはちょっと不足ぎみかと思います。 あと、結構誤植や間違いもありますので（どこが間違っているのか気が使い無い人ならばこの本を読んでもあまり意味は無いともいえますが....）あまり鵜呑みにしないようにある程度の自己解析能力も求められる書籍です。 そういえばライカのレンズ設計者ベレークも自著の誤植を弟子から指摘された際に「ああ、その程度の誤植だったら気づく読者は自分で訂正するし、気づかない人はこんな本読むだけムダだから別にいいんだ。」と答えられたとか？ ベレークに心酔する著者様ですので、あえて誤りは承知の上で訂正せずに再販したのかも?何て思ったりもします。
教養目的の写真レンズの知識に就いての標準書
写真レンズに就いて理解しようと思う時に、
最初に手にとるのにふさわしい本と言える。
代表的レンズ構成、光学ガラスから、収差まで、
専門を目指さないのであれば十分な内容といえよう。
写真の撮影時には、これらの知識のみでは間に合わないので、
カメラやフィルムの知識を別に会得しておく必要は当然ある。

それはこの本の意図するところではないからである。

総評としては、高く評価出来る本であると思う。
レンズの本質の理解のために
　「このレンズはテッサー系」、「このレンズはゾナーのコピー」などなどカメラ愛好者にはレンズの分類には詳しい人は多いが、それぞれのレンズ形式の製作意図まできちんと理解している人は決して多くはないだろう。最も基本的と言われる凸凹凸のレンズの組み合わせのトリプレット・レンズ系でも開発当初は「発明」であり特許であった。いったいこのレンズ系のどこが発明に該当するのだろうか？　レンズ設計の基礎となる幾何光学は一時は最も難しい学問として知られていた。本書はできる限り数式を使わず、図解によって素人にもわかりやすくレンズ設計の基本を解説している。上述のトリプレット系の光学系の例にしろ、数学的な厳密さはともかく、直感的に「なるほど！」と理解させてくれる。本書は撮影用レ!ンズに現れる種々の収差、その補正法などについて一歩進んだ理解を獲得するための良い入門書と言えるだろう。